労働時間を短くすると実質賃金は上がる … データ分析を鵜呑みにしてはいけない ④
※ この記事は英語とは関係がありません。正しい前提で読まないようお願いします。
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▢ 労働時間を短くすると実質賃金は上がる … データ分析を鵜呑みにしてはいけない ④
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・この記事は 2024年01月04日にNHKで放送された「2024年 私たちの選択 AIx専門家による 6つの未来」を元に書いています。
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・・▢ NHKの番組 「2024年 私たちの選択 AIx専門家による 6つの未来」の内容
・・・AIが膨大なデータを解析し、どの要素をどう変えると30年後の2054年には
・・・どのような未来になるかを6つのパターンに分類して紹介し、討論するという内容でした。
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・・・その中に、実質賃金を上げるために次の要素を変えることをAIの分析から導きだしたのです。
・・・・㋐ テレワーク導入企業を増やす
・・・・㋑ 運動習慣を増やす
・・・・㋒ 育休取得率を上げる
・・・・㋓ 労働時間を減らす
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・・・AI の分析は間違えていないのでしょうが、分析結果から導きだした結果のいくつかにに問題があるように思われます。
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・・・▢ ㋑ の「運動習慣」に関して
・・・・収入が高い人は運動しているというデータがあるのだと思います。
・・・・だからと言って、運動習慣を増やせば実質賃金を上げることができるようには考えづらいのです。
・・・・・以前、ネットで読んだ記事の中にお金持ちがしている習慣を紹介する記事の中に「運動」や「早起き」があったように思えます。
・・・・「お金持ち」は「運動」や「早起き」はある程度成り立つと思うのですが、
・・・・「運動」や「早起き」すれば「お金持ち」になるとは思いづらいのです。
・・・・・以前、内閣府研究会の会合が「男女とも恋人が多いほど、結婚し幸せで豊かである」とし、
・・・・恋愛支援のために教育に「壁ドン、告白・プロポーズの練習、恋愛ゼミ」などを組み込むことを提案した…という記事を書きました。
・・・・確かに、データを分析すると金銭的に余裕がない人に比べて金銭的に豊かな人は恋人がいたり、結婚したりしている人が多いのでしょう。
・・・・ただ、このデータをもとに「豊かになりたければ恋人を作ればいい」と結論づけるのは違っていると思うのです。
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・・・▢ ㋓ の「労働時間を減らす」に関して
・・・・これは、番組内で斎藤 准教授が、普通は仕事時間を増やして残業をして賃金を上げるのに、
・・・・なぜ労働時間を減らすと賃金が上がるとAIが判断したか興味があると発言されていました。
・・・・これについては番組内で説明がありました。
・・・・現在、女性の場合、正社員でも結婚や出産を機に仕事を辞める人が多く(辞めざるをえない人が多く)、
・・・・その後、仕事を復帰するには仕事の時間の短い非正規雇用を選ばざるをえないらしいのです。
・・・・そして、正社員と非正規雇用では賃金に大きな差があり、結果として女性の平均賃金を押し下げているようなのです。
・・・・番組で紹介していたドイツの例のように、もし労働時間を短くしても正社員の待遇を保つことができれば、非正規雇用にならずにすみます。
・・・・これにより労働時間を短くしても実質賃金を上げることができるということなのです。
・・・・「労働時間を短くすれば実質賃金は上がる」だけを見て実践しても決して実質賃金は高くなりません。
・・・・「労働時間を短くする」ことではなく「非正規雇用の人を減らす」ことが賃金を上げているのです。
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・・・・このように、AIが分析し、導きだした結果を背景や理由などを知らないで鵜呑みにしても、その結果どうりにはならない場合があるのです。
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・▢ 関連情報
・・・1991年~2020年でアメリカでは30年間で実質賃金が約1.5倍になっているのに対して、日本はほぼ横ばいなのです。
・・ このデータだけを見て「日本人の賃金は上がっていない」と結論づけるのも危険です。
・・ ニュースを気をつけてみていると、正社員の基本給はベアアップなどでほぼ毎年上がっているのです。
・・ それにも関わらず、日本の平均賃金がほぼ横ばいなのは、賃金が低い人の数が増えていると思われます。
・・ 違う見方をすれば、豊かな層と貧しい層の格差が広がっていると言ってもいいと思います。
・・ 最低賃金は確かに上がっています。ただ最低賃金より金額が上の人の賃金はそれに比例して上がることもなくずっと同じことも考えられます。
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本当に実質賃金を上げるのであれば、非正規で働く人の数を減らしていけば、どんな方法よりも効果的であると考えます。
・・ ただし、番組に出演された新藤義孝 経済再生担当大臣の発言からもわかるように、与党や政府には非正規労働者を減らす意志は全くないのです。
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