カオナシ [No Face] …文化の違い
他の人に話したり説明したりしなくても、ある程度理解したり察したりして欲しいと思ったことはないでしょうか。
親しい友達や家族の間であれば、そういったことをより感じるのではないでしょうか。
何が好きかとか、何を大切にしているか…などは長く一緒に過ごしていれば特に説明をしなくても自然とわかってくるもののように思えます。
同じようなことを、ある漫画家の人がTV番組で言われているのを聞いたことがあります。
奥さんの体調が悪いことを知っていれば、「〇〇をして欲しい」ということを言葉にして旦那さんに直接伝えなくても、ある程度察して夕飯を買ってくるなどして欲しかった…というような内容でした。
このようなことは日本だけでなく他の国でも一緒なのでしょうか。
「カオナシ」という言葉を聞いたことはありますか。
スタジオジブリのアニメ「千と千尋の神隠し」の中に出てくるキャラクターです。
カオナシは「ウー」とか「アー」とか言うだけで、意味があるような言葉は発しません。
フランスでこのアニメが公開された時に、フランス人にはこのカオナシがなんとなく理解できる存在だったようなのです。
カオナシが理解できるのであれば、フランス人の感覚は日本人の感覚と近いのかもしれません。
一方、アメリカでこのアニメが公開されると、アメリカ人にはこのカオナシが「理解できない不思議な存在」だったという話を聞きました。
「言いたいことがあれば言ってくれ。言ってくれなければわからない」というのがアメリカ人のようなのです。
アメリカでは、「言わなくても察してよ」ということは通じないようなのです。言いたいことがあればはっきり言うということが大切になります。
逆に言うと、言わないと通じないのがアメリカなのです。だからアメリカ人にとって、はっきり話さないカオナシは理解できない存在なのです。
アメリカ人と結婚した日本人から「毎日 I love you. と言うことを要求される」という話をよく聞きます。
アメリカ人は、「察するということは苦手で、言わないと理解してもらえない」と思えばこの話も納得いく話です。
アメリカ人と一緒に仕事をしたり生活したりする場合は、「言いたいことがあれば発言する」「してもらいたいことがあればはっきり言う」と言うことが大切になってきます。