数字に騙されるな!
この記事は、英語とは特に関係ありません。この記事がが正しい前提で読まないようお願いします。
□ 数字に騙されるな!
小泉農水相は2025年6月5日の衆院農林水産委員会で、コメの流通について質問され、次のように答えました。
「社名は言いませんけど、米の卸売の大手の営業利益を見ますと、ある会社では、何と対前年比500%ぐらいです」
この数字だけ聞いて「卸売がコメ不足に乗じて儲けようとするから、こんなにも米の値段が上がるんだ」
…と思った人もいるのではないでしょうか。
この「とある会社」と思われる会社が、メディアの取材に対して下記のような回答をしました。
それまで薄利多売で事業を行っていて、もともと1~2%だった利益率が今回5%になったというのです。
確かに、営業利益だけ比べると、前年比 500%ほどになります。
一方で、営業利益は前年比 500%でも、利益率は 5%ほどだったのです。
5% というのは「あくどい商売をしている」と言える利益率では決してないです。
その「とある会社」によれば、暴利をむさぼているわけではなく、適正な水準と考えているとのこと。
「営業利益が対前年比 500%」とだけ聞くと「コメ不足に乗じて大儲けしている」ような印象を持ってしまいがちです。
ただし、利益率を知れば「決して大儲けしている」ということでもないということがわかると思います。
「営業利益が対前年比 500%」というのは嘘ではありません。
とはいうものの、利益率を示さず都合のいい数字だけを使い印象操作をしていのではないか … とさえ思えるのです。
自分がやりたい方向に世論の流れを持っていくために、
「決して嘘はついていないが、伏せている情報もある」ことがよくある気がしてなりません。
これにより、それを聞いた人が、実際とは違ったように印象を持ってしまう … 悪い言い方をすれば「騙されてしまっている」のです。
これだけは覚えておきたいということがあります。それは、数字を使うと人を説得しやすいのです。
違う言い方をすれば、人は数字で簡単に騙すことができるのです。これを覚えておけば、少しは騙されにくい人になれるかもしれません。
[ご参考]
2021年からここ5年のトヨタ自動車の営業利益率はこが、およそ7%強~12%弱
上記で登場した「とある会社」の市場でのシェアは4~5%で、1社の力で米の価格操作はできない … とのことです。
本件とは直接関係ありませんが、小泉農水相の行動力には敬服します。
行動もしないで、どこかで講演をして、その中で「米は支援者からもらえるので購入したことがない」などと
批判されることを発言し、結果として辞任せざるをえなくなった前農水相とは全然違うのを感じます。
令和の米騒動の発端となった、「(2024年) 8月8日の南海トラフ地震の臨時情報の発表」
の後にスーパーの米の棚から米が消えた時に「新米が出たら落ち着く」などと何もしないで
のんびり構えていた政府に一番の原因と責任があると考えます。
庶民と違い、政治家は裕福な人たちです。ですので、米がたとえ 5キロ 1万円しても、おそらく平気で、全くダメージを受けずにいられると思います。
安売りの時には100円ほどで買えるカップ麺の値段が800円ほどだと思っていた全く庶民感覚がない前総理の麻生 太郎さんのことも決して忘れたらダメですよ。